遺留分

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遺留分

遺留分とは、一定範囲の相続人のために留保された相続財産の一定の割合を言います。
被相続人の遺言による財産処分の自由は、遺留分を侵害しない範囲に制限されます。

■遺留分の目的
父、母、長男、次男の4人家族があるとしましょう。父親が亡くなったときには、法定相続分(民法900条)によると、配偶者(同法890条)である母は遺産の2分の1を、子供(同法887条1項)はそれぞれ4分の1ずつを原則取得できます(同法896条)。
ただ、民法には、亡くなる前に、遺言によって自らの財産を他人に無償で与える「遺贈」(同法964条以下)という制度が存在します。1億円の財産を持っていた父親が持っていた場合には、1億円全額を父親の友人等に与えることができ、本来相続による恩恵を受けることができるはずであった相続人は非常に困ってしまいます。
以上のような状況において、相続人が相続から得られる最小限の利益を残しておこうとする仕組みが「遺留分」(同法1042条以下)です。
以下遺留分について具体的に説明します。

■遺留分の割合と計算
遺留分は、2018年の相続法改正によって大きく制度が変化しました。
改正前は、遺留分の権利者は遺留分侵害をもたらした贈与(同法549条)や遺贈の効果の否定を求めることができ(滅殺請求権)、これが行使されると、贈与によって移転された目的物の所有権が遺留分権利者に復帰するといった法律構成が採用されていました。
ただ、上記の制度には共有関係の複雑化など、権利関係が極めて分かりづらくなるといった難点もありました。
そこで、改正後は、遺留分侵害の効果を、遺留分権利者に、遺留分侵害請求権という金銭債権を認めることとしました(同法1046条)。
では、遺留分侵害請求とは、誰がどの程度の額を請求することができるのかについて具体的に説明します。
 
① 遺留分権利者
まず、遺留分は相続人全てが権利行使できるわけではなく、配偶者、子、直系尊属
といった兄弟姉妹以外の相続人に限られます。
② 財産の価額
亡くなった方が遺した財産の価額は、
財産価額=相続開始時の被相続人の財産の価額+贈与した財産価額-債務(借金)
によって算出できます。
③ 遺留分の算定
先程算出した財産の価額に、一定の割合を乗じて遺留分が計算されます。このとき、相続人のがどのような人かによって割合が変化しますので、注意が必要です。具体的には、
⑴直系尊属のみが相続人となる場合には、3分の1
⑵直系尊属以外が相続人に含まれる場合には、2分の1
が乗じられ、総体的遺留分が決まります(同法1042条1項)。
個人個人の遺留分は、総体的遺留分から法定相続分を乗じて算出できます(同法1042条2項)。
以上をまとめると、遺留分割合は、
遺留分割合=法定相続分(兄弟姉妹を除く)×(3分の1または2分の1)
で計算できることになります。
④ 遺留分侵害額の計算
最後に遺留分侵害額の計算をします。
遺留分侵害額は、
遺留分侵害額=個別的遺留分-遺贈又は贈与された額-具体的相続分+債務
によって求めることができます(同法1046条2項)。

■遺留分侵害請求権の債務者
では、上記で計算した遺留分侵害額は、誰に対して請求すればいいのでしょうか。これは、受遺者と受贈者がいるかによって変化しますので、場合ごとに確認します。
⑴ 受遺者と受贈者がいるときは、受贈者が先に負担する(同法1047条1項1号)
⑵受遺者が複数又は受贈者が複数いる場合で贈与が同時になされたときは、目的価額の割合に応じて負担する(同項2号)
⑶ 受贈者が複数いるときは、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する(同項3号)

■遺留分侵害額請求権と時効
遺留分侵害請求権は、
① 遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき
② 相続開始から10年経過したとき
以上の場合、時効によって消滅します(同法1048条)ので、注意が必要です。

■遺留分の放棄
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可が必要です。(民法1049条1項)
共同相続人の一人がした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分には影響を及ぼしません。(民法1049条2項)

瑞木総合法律事務所では、大阪市を中心として「遺言」「遺留分減殺請求」「成年後見人」「相続放棄」など、様々な相続問題全般についてご相談を承っております。
相続についてお悩みの際はお気軽に当事務所までご相談下さい。

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